「バイクに乗っている限り、いつ、何が起こるか分からない。あなたがどんなに万全の備えを施し、細心の注意を払いながらライディングしていても、ドン! 突然の出来事はいつでも起こり得るのだ。
予期せぬ出来事に直面しても、決して諦めてはいけない。ギリギリの瞬間まで持てる技能と精神力をフルに発揮して、どうにか自分を生かすために、もがかなければいけない」
(第3ゴー「魂のライテク」より)
第3ゴーの制作が終わりました。〆切を越えて大日本印刷の皆さんをお待たせし、さらにギリギリの線を越え、崖から足を踏み外しかけたところ、だったようです。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
そんなこともあって、最終局面では加藤編集長から小1時間おきに催促と状況確認の電話が入りました。そのつど気持ちが途切れ、文章の世界に自分を引き戻さなければいけないのには参りましたが(笑)、電話のたびに加藤さんの声が疲弊していくのが分かり、こちらも申し訳なく……。お疲れさまでした。そしてありがとうございました。
今はまだ、頭の中をホカホカの言葉たちが飛び回っていて、ずっと寝ていない僕を寝かせてくれません。もう何時間起きているんだろう。落ち着いてくれるといいのだけれど。体は弱り切っているのにな……。
さて、第3ゴーの特集テーマは「冒険」です。この時点では、僕は雑誌全体を見渡しておらず(表紙も見ていないんですよ!)、自分が書いた記事のことしか分からないので、どんな「冒険の書」になっているのか楽しみです。
今回は、たくさんの方たちに話を聞かせてもらいました。ガッツリしたインタビューとしては、冒険ライダーの風間深志さん、そしてヤマハ初代セロー開発者の近藤充さんの記事を展開しています。
初代セロー開発者の近藤さんは、「セローの生みの親」。この5月でヤマハを定年退職されるにあたり、ヤマハ社員というお立場では最後のインタビューをさせていただきました。「そんな大役を……」と畏れ多かったのですが、近藤さんのお話はとても熱くて面白く、ぐいぐい引き込まれていきました。
オフロードバイクと言えばパフォーマンス重視だった80年代半ば、当時は誰もイメージできなかったトコトコ系のセローを頭に描いた若き近藤さん。そして「これは絶対に作るべきバイクだ」という強固な信念のもとに、職域を飛び越えながら開発に取り組むのです。逆風を吹き飛ばしながら突き進んでしまうチャレンジャー。もはやサラリーマンのやり方ではなく、「ただのバイク好き」でしかありません(笑)。
書き上げた記事は、果たして累計10万台超のセローの魅力と近藤さんの熱量を伝えられているかどうか……。いつものごとく自信はありませんが、近藤さんの定年退職祝いということで、ぜひお読みいただければと思います。
風間深志さんのお話は、お名前の通り、深いです(笑)。北極、南極、エベレストにバイクで行ってしまった人だけあって、なんともスケールがデカく、言葉のひとつひとつに重みと多角的な意味がありました。
風間さんとは、'98年に一緒にニュージーランドに行っています。僕はそれが初の海外渡航で、風間さん、宇崎竜童さん、根津甚八さんという錚錚たるメンバーのバイク旅を取材する仕事でした。大きなプロジェクトの端っこでニュージーランドの美しさに感動し、出発直前に買った一眼レフカメラのシャッターをひたすら切ったことを覚えています。
今回、インタビューのために風間さんの事務所を訪れると、風間さんはニュージーランド行に僕がいたことは覚えていませんでしたが、なんと、その時に作った冊子がすぐ取り出せる場所に置いてあったんです。僕が書き、写真を撮ったニュージーランド記事部分には、付箋が貼ってありました。
うれしくて懐かしくて、パラパラとめくらせてもらうと、てんで力不足でやんの(笑)。今ならもう少しいい記事書けるのになー、と思いつつも、17年も前の薄い冊子がこうして取っておいてもらえてるなんて、その時できることは精一杯やっていたのかな、と、感慨深いものがありました。
自分で書いたものを後で読み返すと、いつも情けなくて、「今ならもっとできるのに」と思う。でも、自分なりに手を抜いていないことだけは分かる。何かやろうとしている気配も感じる。今までどれだけの量の文章を書いてきたか想像もつきませんが、そのつど全力なら、それでいいかな。
このブログ記事の冒頭に一部載せましたが、今回は「魂のライテク」という記事も書きました。27ページあるのに、いわゆるテクニックはほとんど書いていません(笑)。「心構え集」と思っていただければ。皆さんのバイクライフの何かの役に立……つのか?
とにかく、今の時点では僕には第3ゴーの全体像が分からないので何とも言えませんが、僕以外の人も記事を書いてくださっているし、力のあるイラストレーターさんたちが絵を寄せてくださり、優秀なカメラマンの方たちに写真を撮ってもらい、有能なデザイナーさんたちにレイアウトしてもらい、加藤編集長もヘロヘロになりながら入稿作業をしてくれたので、きっと面白い本になっていると思います。
大日本印刷の皆さんが総力を挙げて印刷してくだされば、7月24日(金)に発売される予定です。その日の僕は、きっとエアコンがガンガン効いた鈴鹿サーキットのメディアセンターでガタガタ震えていると思いますが、皆さんは真夏の日差しのもと汗だくになりながら、ぜひ本屋さんに足を運んでいただければ幸いです。
ところで、僕が第3ゴーで1番気になっているのは、P114奥付です。過去2号では、ここには目次と次号予告が載っています。果たして今回は、第4ゴーについて予告されているのか。されているとしたら、発売日はいつなのか……。予告されてるのかなぁ……。どうなんだろう。
第3ゴー発売、おめでとうございます。7/24を楽しみにしています。これで軌道に乗って一気に「週刊化」してもらっても読者としてはいっこうに構いませんよ~(笑)
返信削除ありがとうございます。最後の電話で加藤編集長がぽろりと言った、「本、出るかな……」という弱々しい言葉が忘れられません。オレもドキドキしながら7.24を待とうと思います。
削除週刊化! シューカンタカハシゴー。原稿書きに追い立てられ何か良からぬことをやらかして収監されそうです。
1、2、3ゴー揃っています。今号も普通というか常識を持っているライダーの本音が紙面に余すところなく表現されていて良かったです。自分としては八っつあん語録が特にお気に入りです。あれだけレースの解説をされている八さんから、あんな本音が聞けるなんて。
返信削除私の近くの本屋では2/3冊が売れていました。4ゴーも楽しみにしてます。
すげえ、1〜3ゴーコンプリートって、激レアっすね! ありがとうございます。
削除「八っつあん語録」、オレも大好きです(第3ゴーはまだこの時点でも実物を見ていないので、未読ですが)。何しろ元GPライダーでロスマンズカラーのNSR500に乗って戦っていた方ですからね……。本誌に書いていただけるなんて、ありがたいことです。
◎ゲッカンタカハシゴー的「魂のライテク」
返信削除実にありがたい「愛に溢れた余計なお世話」(笑)である。
当たり前のようなコトなんだけれど、僕らはそれを当たり前のように忘れてしまう。
素晴らしいので、皆さま、心して読まれよ。
次号(第4ゴー)も出して~。
「愛に溢れた余計なお世話」。それだ!!(笑)
削除コメント消えちゃったみたいなので、再度。
返信削除私も全ゴーコンプしてます。身を削って書いているのもしみじみ分かります。だから、こちらに伝わってきてるもの。こういう肝心な話を、ちゃんと書いてくれるメディアはこれまで無かったし。
間隔が空いても良いから、ぜってーに次も出して下さいね。重い感じと言われようとも、ずっとずっと待ってますからね。
全ゴーコンプ! ありがとうございます。身も心も削ってヘロヘロですが、まだ書き足りてない、言い足りてない、出し切ってない感じが気持ち悪いです。次もあるといいですよね……(遠い目)。
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